淡路島の地質概要
淡路島の地質図
淡路島の地質は,地形概要で述べた地形区分とよく対応している。すなわち,南部の諭鶴羽山地,及び南辺寺山周辺の山地は,大部分が白亜紀の和泉層群から構成され,一部に鮮新世-更新世の大阪層群が分布する。北部の津名山地は,下位に白亜紀の花崗岩岩類があり,これを不整合で覆う中新世の神戸層群が北半部地域にのみ分布する。さらに,これらを不整合で覆い,大阪層群が全地域にわたり広く分布している。
大阪層群は,多くの活断層・撓曲により局地的に著しく急傾斜し,まれには断層(破砕帯)を介して花崗岩類と接する露頭も認められる。
なお,山地の山麓部・海岸沿いには後期更新世の段丘堆積物が各地に分布している。これらは,ほとんどが礫層・砂礫層を主体とする河成堆積物で,全域的には高位段丘・中位段丘・低位段丘・最低位段丘の4つに区分できる。
淡路島の地形概要
淡路島の地形図
淡路島は北東-南西に細長い形状をしており,長さ約53km,北西-南東方向の幅は北部で狭く約5~8km ,南下するにつれてひろがり洲本市の南で約22kmに達する。
淡路島の地形は,島内の山地・低地の分布により4地域に区分することができる。すなわち,南端部の南淡町阿万から三原町神代・緑町広田を経て洲本市街に至る線の南東側は諭鶴羽(ゆづるは)山(608m)を最高点とする起伏の大きい諭鶴羽山地で占められる。また,南淡町阿万から三原町神代を経て西淡町湊に至る線よりも西側には,南辺寺山(265m)等を主峰とする海抜 200m級の小さな山地が分布する。上述の両山地の北縁は三原川・洲本川流域の淡路平野により限られ,これ以北の地域には,北端部の淡路町に至る起伏の小さな津名山地が北東-南西に細長く分布している。津名山地は,その中央付近の一宮町郡家と津名町志筑を結ぶ線によって,北半部と南半部とに再分することができる。南半部地域は先山(せんざん)(448m)を最高点とし,全体としては起伏の小さな山地が大半を占める。
津名山地北半部地域は,妙見山(522m)を最高点とし,南側にやや起伏の大きい山地が,北側には起伏の小さな山地が分布している。
以上述べた淡路島の地形の大勢は,この地方一帯の第四紀の構造運動と密接に対応しているものとみられる。すなわち,本島の南縁には活断層とされる中央構造線が東西にのび,諭鶴羽山地は,東方の和泉山脈から西方の讃岐山脈へと続く,中央構造線北縁の山地の一部と位置づけられる。一方,津名山地は,その南東縁・北西縁に後述のように多数の活断層・撓曲が知られており,これらの活動の累積によって生まれた山地と考えられる。活断層の北東方への延長は明石海峡を経て六甲山地南縁部へ連続することが知られており,津名山地の形成過程は六甲山地の隆起過程と一連の構造運動として位置づけられる。